絵画のような曲線の図案を、なみ縫いだけで描いていく。前回の「流水」ではそんな体験をしました。刺し子、とひとことで言っても、いろいろあるんだなあと実感した私です。
また、刺し子糸の魅力についても改めて感じるところがあり、新しい糸との出合いに対しても、積極的に考えるようになりました。世の中には素敵な刺し子糸がたくさんあるのですね。
さて、前回が割と渋めの(?)文様だったので、その反動かもしれませんが、今回はふわっと優しい、可愛らしい文様を選んでみました。
刺し子初心者。13作目は、ホビーラホビーレさんの「花分銅」387です。
■一目惚れした「まだら染め」
インスタで目にして、その可愛らしい色合いに目が釘付け。でも、実際に見てみるまではわからないよね、と3秒迷ってやっぱり購入を決めた、それが、今回使った「絲-ito-」さんの刺し子糸です。
果たして、想像通りの可憐さで、とにかく色が可愛い!
段染め糸2種とまだら染め糸1種を注文したのですが、その他に少量の糸もおまけして送ってくださいました。
今回は、購入した3種の糸で刺していきます。
どれもパステル系や、時にくすみ系の、淡い綺麗なカラーのグラデーションなのですが、かなりたくさんの色が入っている印象です。
特にまだら染めのピンク系は、濃淡のパープルやオレンジ、オフホワイト、薄い水色までも混じっていて、いったい何色出てくるの?と驚くくらい次々に色が変わっていくのです。それはそれはカラフルで、刺している間中、心躍りました。
カラフル、といっても自然な優しい色味なので、上品です。例えばニュアンスカラーの色鉛筆セットを手にしている、みたいな感じでしょうか。ときめきました。
1本の糸で刺しているのに、4枚の花びらの色がすべて違ってくる、ということもあり、この花分銅にはピッタリの糸かもしれません。とにかく楽しいので♪
ところで、まだら染めとは何でしょう。段染めとはどう違うのでしょう。
「絲-ito-」さんのサイトによると、段染め糸とは、1本の糸に様々な色が並んで入っている糸のことで、数cmから数十cmごとに色が変わり、色の境目なども独特の色が出るのだそうです。
また、まだら染め糸は、こちらの店主さまのお母さま(染めをご担当)が独自に編み出した染め方で染められた糸とのこと。たくさんの色が入り、完全にランダムに染められているそうです。
✻絲-ito-さんのサイトの記事です↓
絲-ito-のまだら染め。一目惚れした子にまた惚れなおした、といったところでしょうか。舞い上がり過ぎかな?笑
■3目重ね縫いで糸継ぎ
花分銅の刺し方はシンプルです。ホビーラホビーレさんの説明書に従って、悩むことなく刺し進めることができました。
斜めラインを2方向。最初のラインで花も刺していきます。4弁の花びらを順番に、反時計回りに進めていくので、布をくるくる回しながらになりますね。なかなか面白かったです。
難しくはないのですが、糸処理はどうしようかと、ちょっと考えました。
端の方のラインは、枠線の外から始めて外で終わり、糸を後で処理(近くの糸端と固結び)すれば大丈夫ですけど、中央寄りのラインになってくると、糸の長さが足りなくなり、途中で継がなければなりません。
前回は、枠内は3針返し縫いで糸処理をしました。今回もそうするつもりだったのです。しかし、ネット検索しているうちに、重ね縫いで糸継ぎする方法を知りました!
返し縫いなしで、ただ3目ほど重ねるだけ。玉留めもなし。
それで、本当に大丈夫なの?とちょっと不安ではあったのですが、裏に出した古い糸端と、新しく始めた糸端(これも裏から)を、すぐには切らずに、水通しして落ち着かせてからカットすれば大丈夫、という説を信じようと思いました。
ら、楽なので・・・(^_^;)
重ね縫いする部分は、新しく始める糸が表から見えないように、古い糸の下に刺すと良いようです。裏布だけに刺す、という感じでしょうか。
段染めなどで気を付けたいのが色の変化ですね。終わったときと同じ色味で始めれば、糸継ぎした部分が目立ちません。
■二重の枠と、ウェービーな枠飾り
花びらも描く1方向目は、ピンク系とブルー系(これもニュアンスカラーのブルーグレイや淡い水色、グリーンやクリームも入っていて大好き♡)を交互に刺して、2方向目は、枠線と同じグリーン系の段染め糸で刺しました。
そして今回は、枠線の外側3ミリのところに線を引き(水で消せるチャコパ―で)、パステルピンクのムラ染め糸でなみ縫いをした後、同じ糸で枠飾りをしてみることに。
この糸は、昨年の初夏にメルカリで入手した刺し子糸のひとつです。3色セットでした。他のレモンイエローとオレンジは、柿の花のミニ花ふきんに使用しています。
実は、このとき使用せずに残ったピンクの糸の使いどころはないかなと、折に触れ考えていたのです。で、今回、甘めな文様の、外枠のそのまた外枠を飾ってもらうのに、ちょうど良いのではないか?と思ったのでした。
グラデより単色が良さそうだと感じるし、糸の細さも揃っているし。
ただ、ちょっとフェミニンになり過ぎたかもしれません。笑
枠飾りは、これまでのとは変え、ゆるやかな波を描くような、ちょっとウェービーなものに初挑戦。そうそう、枠飾りをするときは、絡める糸の厚みを考慮して、枠線のなみ縫いはゆるめに刺すと、仕上がりがギチギチになりません。
■分銅をデザインした縁起の良い文様
花分銅は、縁起の良い吉祥文様である「分銅つなぎ」に4弁のお花を組み合わせた、ホビホビさんのオリジナルデザインのようです。大きな斜めのカーブした線で、分銅の形を描いているのですね。
元となる「分銅」は、その昔、貨幣を計算するのに用いられたもの。天秤のお皿に乗せていた金属なのですが、その形は左右が弧状にくびれてなかなか洒落ていたようで、財宝を意味する縁起の良さとも相まって、家紋に用いられたりもしたようです。
お金に関わるものなので商売繁盛の意味合い。また、学業向上の文様とも言われているそう。
いつかはその「分銅つなぎ」の文様も、刺してみたいと思います。
どんな糸が似合うのでしょうね(*^-^*)