刺し子に興味を持ってから悩みつつ自分で刺すようになり、他の方の作品もよく見るようになった私は、昨年暮れあたり、花ふきんではないものもちょっと作ってみようかな、などと思い始めていました。
もう少し時はさかのぼって。
私は、2018年にネットで見つけたシライカズミさんの刺しゅう作品にときめき、すぐに『刺繍で描く小さなモチーフ』という本も購入、シライさんの図案を用いてブローチなどを作っていました。
✻その頃、メインブログで書いた記事がこちら↓
実は、そのときに買い求めたデンマーク製の「花糸」がまだたくさん手元にあり、この素敵な糸で刺し子してみたらどんな感じになるだろう、という思いが、去年の秋くらいから膨らんできたのです。
通常、フランス刺しゅうでよく使われる25番刺しゅう糸(DMCなど)のようにツヤツヤでなく、マットな風合いが刺し子糸に似ているし、太さも刺し子糸の細糸くらいです。
生成りの麻布に、白い花糸で刺し子をしてみたい。ちょっと試してみたいだけだから、小さなものを、簡単なデザインで……。
花ふきん以外のものを作りたい気持ちと、花糸を使いたい気持ちを、同時に実現してみようと思いついたのでした。
刺し子初心者。9作目は、変わり花刺しをあしらった自作デザインの、小さな棚カバーです。
■花糸を使って刺し子をしてみたい
シライカズミさんの本を見て刺しゅうしたのは、「花鳥」「気球」「おちびさん」くらいだったなあと、今また本を眺めながら勿体ない気持ちになっています。花糸も10色くらい買ったのに、まだ使っていない色も半分ほどあって。
リネン100パーセントの布に、花糸で小さな刺しゅうをして、ブローチをいくつか作ったことを思い出します。とても楽しい時間でした。そろそろまた、何か刺しゅうをしてみたいです。
ところで。
私の買った「OOE花糸」は、24mで190円でした。刺し子糸と比べると、ちょっと高価ですね。例えばホビーラホビーレさんの単色刺し子糸が、85mで200円ですから、3倍以上のお値段になります。なので、大きな花ふきんにギッシリ刺すのはどうかなあ、とためらいます。笑
麻糸に花糸で刺し子を、という思いつきは、小さな棚にかけるカバーくらいで試してみるのが、ちょうどいいのかもしれません。それも、全部を刺し子で埋めるのではなく、部分的にあしらう、という感じで。
布は、セリアさんにあった綿麻のカットクロスを使いました。正確には麻布ではないけれど、この生地なら白い花糸がレースみたいに映えるんじゃないかな、と思えたのです。サイズもちょうど良い感じでした。
■方眼線を自分で布に書く
刺し子をされる皆さんの中には、自分でさっさと晒布に方眼線を引き、一目刺しをしていらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。すごいなあ、すご過ぎるなあと、私はいつも感服するばかりです。
いつかは私にも、そんな日がくるのだろうか?と自分に問いかけては、いやあ、無理でしょうな、と答えていたんですよね、情けないことに。
刺しゅうをしているときも、布に下絵を写す、という作業が苦手ですし、定規を当てて真っ直ぐの線を引く、ということすら、自信がありません。ましてや、目盛りをそろえて方眼線を引いたり点を打っていくなんてことは、コワスギ!とさえ思っていました。
それなのに、今回はやらざるを得ません。覚悟しました。
棚板のサイズを測り、カバーの大きさと、どこに刺し子をあしらうかを決め、7㎜の方眼を4段書き、変わり花刺しを刺してみることにしました。
よりによって、7㎜……。
九九で一番苦手だったのは、7の段なのに。涙
装飾として、刺し子をボーダー的に配することにしたので、その幅に悩んだり、布の歪みを整えたり、7の倍数で点を打っていく慎重な(笑)作業に、今回は一番、時間がかかりました。
布の仕立ては、1枚で刺してから上部を「わ」にして二つ折り、3方をコの字とじにすることに決めました。
※「わ」(=「輪」)とは、生地を二つ折りにした際に出来る山折りの部分のことです。
■シンプルだけど可愛い変わり花刺し
刺し子の文様には「花刺し」と付くものがたくさんありますね。「変わり花刺し」というのもそのひとつ。縦線横線の格子の中に、斜めの線が入るという、とってもシンプルな文様です。単純なのに、なんだか可愛く品よく見える、素敵な柄だと思いました。
シンプルな文様である上に、刺す面積も小さかったので、刺し子そのものはあっという間に終了です。1枚で刺したので、針通りもすいすいで、心配になるくらいスムーズでした。
■仕上がりを良くするためのひと手間
この後、布を2枚に折って、3方の縫い代を折り込み、コの字とじにするのですが、これが少し大変だった気がします。布があまり上等ではないため、直角をとろうとアイロンをかけながら布目を整えるのに、時間がかかりました。
とにかくアイロン、待ち針、仕付け、が大事ですね。ひと手間ですが、そこを頑張れば仕上がりがまるで違ってきますから!
こちら、ミニラックの棚の上に、敷くためのものでした。ナチュラルな木製なので、派手さのない素朴なカバーを合わせたいと考えていました。
白い花糸は、やっぱり生成りの布によく似合っているように見えます。花糸は上品な印象になるので、いつかは上等な麻100パーセントの布でも試してみたいなあ、と、思った私です。
やってみたいことが試せた今回、私的には十分満足できました。あったらいいなあと思うものが、自分で作れたのは嬉しかったです。また何か思いついたら、臆せず作ってみよう!
それにしても、水で消える印刷線が入った刺し子布は、やっぱり楽だし、ありがたいなあ、とつくづく思いましたね。今回は刺し子そのものはささやかなスペースでしたし、また大きな花ふきんでたっぷりと刺し子の楽しさを味わいたい、そんな気分にもなっていたのです。
次回に続きます♪