去年の夏から秋口にかけて、途切れ途切れではありますが、私はセリアさんのミニ花ふきんを3枚刺しました。
柿の花、花刺し、十字花刺し。
どれも楽しくて、もっとミニ花ふきんの刺し子布を買い足そうかな、とも思っていました。が、デパートの催事で憧れの「染色アトリエKazu」さんの刺し子糸を入手すると、また大きな花ふきんを刺したい気持ちが膨らんで……。
そろそろ広々とした景色を眺めたいな。
Kazuさんの糸をたっぷり使って、秋を描きたい。
10月の終わり頃。いくつか買ってあったホビーラホビーレさんの刺し子布を並べて、楽しく悩んだ私でした。
刺し子初心者。8作目は、ホビーラホビーレさんの「亀甲花刺し」339-2です。
■憧れの糸、染色アトリエKazuを手にして
初めて使う、アトリエKazuさんの刺し子糸。こっくりしたその色味の美しさ、風合い。素敵です。
「これは葡萄色系だなあ♡」と思った段染め糸を、主役にしたいと思いました。最後にこの糸をくぐらせたら、葡萄色の花ふきんができるかな?と。
この糸の色に、番号や名前はないようです。太さは、20/4と表記されていました。20番手の4本撚り、という意味らしいのですが、これまでオリムパスさんでもホビーラホビーレさんでも、そんな表記は見た覚えがなく、ちょっと戸惑いました。
番手とは、糸の一定の重さあたりの長さを表し、20番、30番、40番、と数字が大きくなるほど細い糸であることを示すそうです。ミシン糸なども、番手が表記されていますね。刺し子糸は、わりと太めの糸を数本、あまく撚り合わせているということでしょうか。
ざっくりと細糸、太糸と呼ばれていることが多い気がする刺し子糸。20/4は、どうやら細糸の部類に入るようです。
同じときに購入したKazuさんの他の糸は、20/6と、20/3(3個セット)。確かに6本撚りの20/6は太い!そして、20/3はとても細いですね。
糸の太さによっても、仕上がりの表情はまるで変わるようなので、色だけでなく、太さも考えながら、狙った通りに表現ができたら素敵だろうな、と思います。私には遠い道のりかも。涙
ところでこの段染め糸。本当に綺麗なグラデーションです。段染めは、グラデとは言わないのかな。噂には聞いていましたが、玉巻にしている段階からその美しさにもう、うっとり。くぐり刺しに使うと決めていたので、その段階まではお預けなんですよね。待ち遠しく思いました。
余談ですが、玉巻には時間がかかりました。巻いても巻いても終わらない。だって、この糸、210メートルもあったのです!
✻玉巻きのことはこちらで書きました↓
■色を変えてリズムをつける
仕立ては、前回同様。最後にコの字とじをするので、表布、裏布、同サイズで裁ち、縫い代を折って、それぞれを仕付けしました。その後で、2枚がずれないように、合わせて仕付けをざっくりと。
枠線は、ホビーラホビーレさんの129(ライトグレー)で刺しました。この色、前回の十字花刺しで使って、とても気に入っていたのです。
まずは横のライン(長辺)です。
印刷線は34本ありました。
実は、最初はライトグレー1色で全部を刺すつもりだったのですが、気が変わったのでした。
悩んだ末に、グレーだけではなく、濃ブルー(113)と、加えて刺し色的に濃ピンク(111)を使うことに。この2色もとっても綺麗で可愛くて、刺している間、何度も笑顔になってしまいます。
長く刺し続けられる直線縫い。ある程度刺してから糸をしごきますが、どうしてもつってしまいがちなので、時々ちょこんと、少し糸を出しておくようにしてみました。ゆとり分。これで後からでも調整ができます。
刺し子の糸の引きが強いと、布に細かいギャザーが寄ってしまいますよね。あれを、できるだけ避けたい。糸は、多少ゆるめかなと思うくらいで、ちょうど良い気がします。
続いて縦のライン(短辺)です。
くぐり刺しの引っかけ部分となる長い目も入り、結構目立つんですよね。
印刷線は60本。またまた配色に悩みました。こちらはグレーとブルー、そしてパープル(112)を刺し色的に加えることに。全て、ホビホビさんの糸です。
今回の配色、まとめてみます。
横(長辺):(グレー4+ピンク2+ブルー4)×3、+グレー4
縦(短辺):(グレー6+ブルー6+パープル4)×3、+グレー6+ブルー6
こうして色をいくつか使ってリズムをつけることで、飽きずに刺していくことができるのね、とも思いました。
それにしても、色同士の組み合わせって興味が尽きません。私は、ブルーとグレーが交差する部分が特に好きで、糸色が見せてくれる調和に、何度も針を止めて見惚れていました。
糸端は、前回同様、枠線の外で処理。長辺は、行って帰って、の2行で結んだのですが、短辺は2行だけでなく4行の場合もありました。4行分あってもそんなに距離はないので、大丈夫だと思います。
■やっとくぐり刺しタイム!
そして、いよいよKazuさんの糸をくぐらせます。どんな景色を見せてくれるのだろうと、本当にワクワクしました。
糸の長さをどれだけ用意するかに悩んだのは、あじさい刺しのときと一緒です。
✻あじさい刺しの記事はこちら↓
今回は、辺の長さを1.3倍し、往復分なのでその2倍。そこに結び用と余裕分の長さを加えて、120㎝とあたりをつけたのですが、少し長すぎたので、2回目からは110㎝に。これでちょうど良い感じでした。
くぐり刺しはとても楽しいです。しかも、憧れのKazuさんの段染め糸!
濃い紫、薄紫、ピンク、赤・・・葡萄畑を思わせるような色合いがだんだん広がっていき、秋らしい表情になっていきます。
ただ、やはり糸の引き加減が不安でした。引っ張り過ぎると台無しですし、弛んでいても残念です。引き加減が揃っているか心配で、何度も手を止めて確認してしまいました。
16往復と、あと1行でしたので、最後は3行分の糸を用意し、糸端は隣の“渡らせた”糸と結びました。
この後の枠飾りも、Kazuさんの段染め糸を使うことに。グッと華やかに、そして締まったように感じます。
そして、いつものようにコの字とじをしてから、水通しで印刷線を消し、アイロンをかけて完成です。
■微かな成長を感じる
前述しましたが、これを作ったのは、昨年の秋のことです。刺し子に興味を持ってから、ちょうど1年くらいでした。
Instagramやブログで、先輩方の素敵な作品を見せていただくにつけ、挑戦してみたい文様や技法、試してみたい色の組み合わせなどが、どんどん増えている時期でした。
手に取ってみたい憧れの糸も、同じように増えていきました。そんな中で、このときは初めて、染色アトリエKazuさんの糸を使うことができ、とても嬉しかったのを思い出します。
まだ8作目。未熟もいいところですが、刺し子ノートを見ると、こんなことをメモしていました。
「繰り返すうちに、以前わからなかったことがわかるときがある。ああ、そういうことだったのか、と」
「そういえば、刺していて糸がねじれなくなってきた。上達した?」
「刺し子をやりかけのまま放置してあるのを目にすると、なんだか落ち着かない。私、そういう性格だった?」
「色をどう組み合わせ、何本ずつの配置にしようかとか、ちょっとずつマニアックになっていくの、面白いなあ」
刺し子を通して、自分が微かに成長したことを感じていたようです。そしてそれを、素直に喜んでいたんですね。
奥深い刺し子の世界は、本当に魅力的。ゆっくりペースでもいい、探訪の旅を続けていきたいと思った私でした。
次回に続きます♪