今年初の投稿です。
ああ、すっかり間が空いてしまいましたね。
いろいろと制作はしているのですが、刺し子作品としてここに載せるようなものがなくて、あれあれ?と思っているうちに年が明けてしまったのでした。
習作というか、試作というか、思い付いたことを試しにやってみる、という形では、刺し子はずっと続けています。今回はそんな中からひとつ、気に入ったものをご紹介したいと思います。
菱青海波(ひしせいかいは)文様を施した、刺し子のトルションです。
■トルションって?
お台所仕事では、よく手を洗いますよね。洗った手を拭くとき、タオルで拭くという方が多いことと思います。
私も長くフェイスタオルを使っていましたが、数年前、イケアのキッチンクロスに替えました。タオルは吸水性の良さが魅力ですが、乾きが遅いのがちょっと不満だったのです。
キッチンクロスってどうなんだろう、と試してみました。お洒落な雑貨店などではなかなかお高いアイテムですが、イケアではまあまあお手頃なお値段。
IKEA/イケア MARIATHERES/マーリアテレス:キッチンクロス50x70 cm 2枚セット グレー/ベージュ(504.795.84)
このキッチンクロス、綿麻素材で乾きが早く、シンプルなデザインも気に入っていたのですが、幅が50cmと少し広くて、我が家のタオル掛けには縦三つ折りにしてから掛ける必要があり、それが少し残念でした。
大きいのは、そもそも大皿を拭けるサイズだからですね。キッチンクロスは、フランス語でトルション(torchon)と言うそうです。お皿を拭いたり、バゲットを置いたり、手も拭いたり。ループ付きのものが多く、その辺のフックに引っ掛けておけます。そうするとインテリアみたいで目に付きやすいから、色柄にこだわりたくなると。そういうものらしいです。
便利にお洒落に使えるトルション。私はこれを、使わずしまい込んでいた晒の「腹帯」で作ってみようと思いました。晒の幅は34cm弱。この幅なら我が家のタオル掛けに二つ折りで掛けられます。もちろん長さは、好きなようにできるのです♬
何はともあれ、やってみよう!ということで、トルションらしい色柄のこだわりは刺し子で。ちょっと試してみたかった一目刺しの文様、「段つなぎ」と「互い違い刺し」を、太糸を使って大きな針目で刺してみたら、びっくりするくらい早く完成しました。
1cm方眼を引くのはラクでしたし、長さ130cmでカットした晒を半分に折り、1辺を縫うだけの簡単仕立て。布全面に刺し子を施すのでなく、両端10cmほどに入れたので、刺す時間も短く済みました。
そして実際に使ってみたら、あら素敵!
肌触りが良いのです。ふわふわなのです。手を拭くと、柔らかくて気持ちいいんですよね♡そうか、赤ちゃんのオムツも作る布ですものね。
これ、もっと作りたい。そう思いました。
すぐできるから、いろいろな文様をざっくりと試すのにもピッタリです。また、刺し子は可愛いだけでなく、布の補強にもなります。
もちろん吸水性も良いし乾きも早い、そして使い心地が優しいから、手を拭くのにもピッタリ。改めて、晒という布の素晴らしさを実感しました。
その上、材料費もほとんどかからない(手持ちの晒があるうちは布代ゼロ)。じゃぶじゃぶ洗っても惜しくない。素晴らしい!
で、こういうクロスのことを、何と呼んだら良いのか考えました。
花ふきんとは違うし、刺し子の手ぬぐい?うーん、それもちょっと違うかな?もういっそ、刺し子トルションと呼んでしまおうかな。なんとなく可愛いし♬
そんなわけで、これ、刺し子トルションと呼ばせていただきますね。笑
■等角図を使って菱青海波に挑戦
1cm方眼を晒に引いて作った2枚の刺し子トルション。とても簡単でした。次は何を刺そうかと考えたとき、もう少しだけチャレンジをしてみたくなった私です。
とはいえ、あまり細かい文様だと時間がかかり、出来上がってもその労力を思ってじゃぶじゃぶ洗えなくなりそう。笑
そこで、ネットで10ミリ等角図をダウンロードして、ざっくりした菱青海波を刺してみることにしました。一度、トライしてみたかった文様なのです。
✻ダウンロードはこちらからさせていただきました↓
私は厚紙に貼って作りました。丈夫になり、この後も何度も使えますからね(*^^*)
戌の日に神社でいただいた腹帯は、30年くらい前のものですが、未使用で綺麗です。これを私の欲しい長さ、130cmでカット。ひとつの腹帯から3枚取れました。
長辺を半分に折り、縫い代1cmで短辺を縫います。もちろん手縫いでも。これで長さ64cmのトルションができます。ワになった短辺とミミのある長辺は縫いません。
縫い代を少し短く切りそろえてから布を裏返し、指アイロンで綺麗に抑えます。そして、型紙を布の間に入れて、図案を写し取ります。
■ざっくり刺しても端正な印象の菱青海波
糸は、アトリエKazuさんの段染め。10/6の太糸で、ブルー、グレー、ベージュのカッコいいグラデーションです。以前、「流水」でも使いました。私、水を表現するときに使いたくなるのかも?
✻「流水の花ふきん」の記事です↓
仕上がりサイズの約1cm内側を、外枠線として並縫いした後、高さ10cmほどの文様部分を刺していきます。まずは天辺。そして長い直線の菱型部分を全て刺します。
糸始末はいろいろな方法がありますが、洗うことの多いアイテムなので、私は折り返して裏布だけすくうように3目重ねた後、最後の1目を返し縫いすることで、ほどけにくくしてみました。
写真、わかりにくいかもですが・・・
また、縫い始めも、1目返し縫いしてから3目重ねて(ここまで裏布だけをすくって)、刺し始めの位置から表に針を出すようにしてみました。
行き止まったら折り返すようにジグザグに縫い進め、長い直線の菱型部分を刺し終えます。次に、菱型の中の3つの山を刺していきます。
これを繰り返し、文様を完成させます。糸端は、水通しとアイロンの後にキワでカットするので、2~3cm残したままにしておきます。
同じように、反対側にも刺し子をし、仕上げに入ります。
あまり神経質にならずに、ざっくりと気軽に刺した「菱青海波」ですが、その意匠と段染め糸の端正な配色のおかげもあり、凛々しい感じに仕上がりました。
■もっともっと作りたいアイテム
晒で作る刺し子のトルションは、多分、これからもどんどん作ると思います。そのために、晒を買い足すことでしょう。
肌ざわりと吸湿性、速乾性だけで考えるなら、晒を2枚重ねるだけでも良いのでしょうが、刺し子をしていくと、だんだん布地がしっかりしてくるのがわかります。補強されて、丈夫になり、みるみる頼もしくなってきます。
そして、何といっても可愛い。好きな色の糸で好きな文様を刺すのですから、愛着が湧いてきます。これは、どんなに素敵なプリント生地でも真似ができないことですよね。
全面に刺し子をしなかったのにも、私なりの「わけ」があります。我が家のタオル掛けは腰より下の位置にあり、手を拭くときは、布の端よりも二つ折りにした上部のあたりを使うことが多いのです。可愛い刺し子を、なるべく汚したくないと、そんな気持ちが働きました。
まあ、刺し子部分が少ないことで短時間で刺せるから、という理由ももちろんありますけどね。それにやっぱり、こういうデザインが好きなんですね。あともうひとつ、両端が刺し子で少し重くなることにより、物理的に安定感が生まれ、おさまりが良い気がします(*^^*)
菱青海波も古典柄。吉祥文様のひとつですね。どんな意味があるのでしょう?
いろいろな説がありますが、無限に広がる穏やかな波に永遠の幸せや平穏な暮らしを願う心を重ねた「青海波」と、生命力の強い植物「菱」を組み合わせて無病息災や子孫繁栄の祈りも込めるという、ダブルで縁起の良い文様のようです。
私は単純に、カッコいい幾何学模様だなあと憧れ、素敵な形を刺してみたかっただけなのですが、意味を知るとますます好きになってしまいますね。
今回は太い刺し子糸でぷっくりした表情になりましたが、細い糸でスッキリ刺してもきっと素敵なのだろうと思います。いつかまた、新しい表情を楽しみながら刺してみたい、そんな文様のひとつになりました♡
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