三寒四温の日々。春を待つ気分は楽しいのですが、寒暖差はなかなか辛いものがありますね。体調を崩さないように気をつけましょう。
春というのは、丸みを帯びた柔らかいイメージがあります。直線というより曲線かな?
刺し子でも、久し振りに曲線を刺してみたくなりました。もちろん、春らしい色味の糸を使って❀
刺し子初心者。17作目は、ホビーラホビーレさんの「ゆらぎつなぎ」389です。
■明るく、優しく、淡いかげろうのように
ホビーラホビーレさんのサイトを見ると、ゆらぎつなぎは、そよ風に吹かれてゆらゆらと揺れる植物をイメージしたオリジナル柄、と書いてありました。
そんな前知識なしで、店頭でこの図案付き刺し子布を見かけた私は、ゆらゆらと立ちのぼる陽炎(かげろう)みたいだな、と思ったのです。
糸遊(いとゆう)という言葉があります。春の晴れた日、地面からゆらゆら立ちのぼる蒸気。かげろうのこと。
この文様は、まさにそんな印象でした。春の森の朝、草むらや湖面からゆっくりと水蒸気が上がっていく様子が思い浮かんだのです。だんだん、世界があたたかくなっていき、景色に色が付いてくるような。
風に吹かれる植物、も素敵だけれど、自分の印象を大事にしようと思った私です。なので、使う糸はどこまでも明るく、優しく、淡くあってほしい、と、「絲-ito-」さんのピンク系のまだら染め糸と、ブルー系の段染め糸を組み合わせることにしました。
まずは、裁断と仕付け。今回も枠外で糸処理をするため、表布と裏布は最後にコの字とじをする手順です。
枠線の中も、刺している間にずれていかないよう、ざっくりと4方向くらい仕付けをしました。
まずは、ピンク系のまだら染め糸で枠線から刺していきます。そして、文様も。曲線なので、少し短めの針を使いましたが、ずいぶんラクに進めるようになりました。針、いろいろ変えてみるべきですね!
文様なのですが、ホビホビさんの説明書を見て、なるほどこんな風に横へ横へと刺していくんだと、理解しました。ず~っと、ゆらゆらと立ちのぼって刺していくのだと思っていたので。笑
もう、ほんっとに可愛い色で、刺していると心がやわらかく和みます。
反対側をブルー系の段染め糸で。こちらも素敵なニュアンスカラーです。ピンク系と合わせるとよりカラフルになるのですが、淡さや程よい渋みが落ち着いた雰囲気も醸し出しているようです。
ピンク系とブルー系でワンセット。これを6セット刺せば完成なのです。シンプルですね。
■疲れた心をあたためてくれた文様と糸
ところで先週、清水の実家へ行き、何度目かの片付けや遺品整理をしてきました。父が他界して、1年がたちます。
遺品整理はなかなかはかどらず、簡単には進みません。かなり手ごわい。心が揺れることも多いですしね。
でも、亡くなった両親の思い出と過ごせる大事な時間なので、私なりにこれからも真心を込めて片付けていきたいと思っています。
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↑ここでも書いていますが、夕食後のひとときを、ひとり刺し子をして過ごしたりしました。そう、この「ゆらぎつなぎ」です。
この文様と糸たちのおかげで、疲れた心があたたまりました。明るさ、優しさ、淡さに触れたかったので、本当に持って行って良かったです(*^^*)
そして、前回作った「がま口ピンクッションケース」も、大変役に立ってくれましたよ♪
■詩的な気分も表現させてくれる
さて、文様を刺し終わったら枠飾りをして、表布と裏布を合わせて仕付けし、手縫い糸でコの字とじをします。これが、結構大変だったりするのですが(私は不器用なので)、仕上がりを左右する大事な工程、頑張ります。
水通しして干し、半乾きでアイロンをかければ、完成です♪
それにしても、糸色が可愛くないですか?(しつこい?)
今回の「ゆらぎつなぎ」は、難易度は低く、ゆったりと面を埋めているから針数も少なく、きっと私のような初心者さんにはうってつけなのでしょう。手早く気持ちよく刺し進めることができて、今の私にはちょうど良かったです。
でも、仕上がりに重みを感じるほどの、ぎっしりした文様も大好き。かっこいいし、仕上げたときの達成感もすごく大きい気がします。
刺し子の文様はいったいどれほどあるのでしょうね。ホビホビさんでも次々と新作を出していますから、伝統柄も含めて恐ろしいほどの数があるのだと思います。
とかく手の遅い私は、生涯でそのほんの一部にしか触れられないことは明白。だからこそ、これからもそのときの自分の気持ちやコンディションに沿った文様を選んで、楽しんでいこうと思います。
日常で何かを感じて、ちょっと詩的な気分になったとき。選ぶ文様や糸で、その気分を表現することができるのも、刺し子の魅力のひとつですよね。懐の深さを感じます。
ゆらゆらと立ちのぼる優しいかげろう。そんな気分で刺した今回のゆらぎつなぎでしたが、いつか、やわらかく揺れる植物を思いながら刺したくなる日が、私にもくるんじゃないかな、という気がしています。